極小の領域展開
五条悟が展開した極小の領域。これは結界の強度を上げるためだった。前回、「規模を大きくすると領域の精度が下がる」とあったが、その逆で結界を小さくすれば強度は上がるとのこと。結界を大きくした理由は伏魔御厨子の効果範囲をまるっと納める案を試してみたかったため。結果的には、内側の押し合いで負けてしまい、そのままでは領域を破壊されてしまうので、この「極小にして結界の強度を上げ、外からの攻撃に耐えられるようにした」という案を採用した。
ここで領域展開のさらなる新情報が明らかになる。結界の外見と中身の大きさが異なるのはよくあることだが限度はある。結界術で重要なのは何より具体的なイメージ。ゆえに「人一人収まらない外見の体積の結界に自分も相手も閉じ込める」というイメージは普通は不可能で破綻する。
だが、五条悟は「獄門疆に封印されていた」という経験から、この「極小の結界に閉じ込める」という離れ業を実現させた。獄門疆も到底人が入れるサイズではない結界だった。
もっと言うと、「領域の要件変更」自体本来不可能なものらしい。特に領域の結界は、対外条件や対内条件、体積、構築速度などを各々の術師が良い塩梅に調整しようやく成立させることができる。ゆえに、咄嗟に領域の要件を変えることは普通できない。「領域のサイズ変更」や「対内外条件の逆転」という芸当は五条悟だけができる離れ業ということだ。やはり奴は規格外。
領域対決が決着
ついに五条と宿儺の領域対決が決着を迎えた。本当にこの二人の対決はここまで領域展開を軸に進められた。
宿儺は効果範囲を絞ることで術式の威力を底上げ。それにより、再び五条の領域を外から破壊することに成功した。が、同時に宿儺の領域も崩壊。領域内の戦いで五条が宿儺に領域を保てなくなるだけのダメージを与えており、自身の領域が破壊されると同時に宿儺の領域も崩壊させていた。
宿儺は五条の領域内では領域展延を使用しないと攻撃できないので、術式なしでの戦闘を余儀なくされる。その状態だと五条悟のほうが優位ということがわかる。
適応完了
お互いの領域が崩壊。「反転術式による術式の治癒」がある五条が優位と思われたが、宿儺は一度の経験で呪物化を会得したポテンシャルの持ち主。「反転術式による術式の治癒が可能」と知った宿儺もこれが使える可能性が予想されていた。
宿儺と交戦する五条はとあることを危惧していた。それは「宿儺が御厨子の術式しか使用してこない」ことだった。特に、十種影法術の魔虚羅を。魔虚羅を呼び出し適応させれば、五条悟との戦いはかなり優位に働く。五条は「一撃で破壊されることを恐れて?」と予想するが、真相はそうではなかった。
魔虚羅の法陣が動き出す。すでに五条悟の無下限呪術への適応は完了していたのであった。
法陣は宿儺の影の中?
では、「この法陣はいったいどこに存在しているのか?」という疑問が浮かぶが、おそらく「宿儺の影の中」と思われる。宿儺がこの法陣を展開した描写はないし、法陣が描かれているのは真っ暗の中。
「宿儺が事前に影の中に法陣を格納していた」と考えるのが妥当である。伏黒は影の中に武器を格納していた。
この要領で、宿儺は法陣を影に格納し、万戦で見せたように自身が攻撃を受けることで魔虚羅の代わりに適応を済ませたのであろう。これで「無限」に適応した魔虚羅が誕生してしまうことになる。
ここで気になるのが「なぜ今なのか?」ということだ。事前に宿儺が影の中に法陣を格納していたとして、宿儺はこれまでに何度も無下限呪術による攻撃を食らっている。にもかかわらず、「なぜ今のタイミングで適応が完了したのか?」という疑問が浮かんでくる。
これは「無限への適応には時間がかかる」のだと思われる。獄門疆も五条の封印には時間を要していた。魔虚羅の能力は「あらゆる事象への適応」だが、さすがに「無限」に適応するには、獄門疆同様時間を要したのではなかろうか。いずれにせよ、無下限呪術に適応されてしまったというのは絶望的状況と言える。
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